
渥美半島のご当地グルメ「キャベコロ®」はどうやって生まれたのか
冬の渥美半島に育つキャベツ×コロッケ 「キャベコロ®」。
全国的に広がった新たなグルメ
畑を旅する
冬の渥美半島で栽培が盛んな野菜は、キャベツです。田原市には、ジャガイモの代わりに特産のキャベツを使ったコロッケ「キャベコロ」があります。今では、レシピが全国に広がっています。2021年は、誕生のきっかけになったコンテストから10年の節目。新たなご当地グルメに定着したキャベコロの誕生のいきさつなどを聞くため、関係者を訪ねました。
キャベコロって?
キャベコロはどんなコロッケかというと、ジャガイモを入れず、田原産のキャベツを使用します。主な材料も田原産にして、形を俵型にするのが基本です。
家庭で作ってもらおうと、レシピは公開されていて、全国的にも知られている料理レシピの「クックパッド」にも掲載されています。

一般消費者向けにも販売されれている冷凍のキャベコロ=道の駅田原めっくんはうすで
冷凍食材として、商品化されました。当初はカレー風味だけでしたが、プレーン味も加わって2種類。業務用のほか、一般消費者向けがあります。田原めっくんはうす、あかばねロコステーションの田原市内にある道の駅2カ所で扱っています。5個入り450円(税別、1個50㌘)。めっくんはうすのウェブサイトでも購入できます。
市内の飲食店にはキャベコロのメニューもあり、田原を訪れた際に食べることもできます。
道の駅田原めっくんはうす https://tahara-michinoeki.com/
キャベツたっぷり、シャキシャキ食感
キャベコロは、皆さんご存じのキャベツの歯ごたえ、シャキシャキとした食感を味わえ、ごはんのおかずにぴったりな一品です。「冷めてもおいしく、夏場のビールにも合います」と商品化に関わった関係者。
筆者も冷凍のキャベコロを購入し、食べましたが、キャベツがたっぷり入っていて、ほどよいカレー風味がキャベツにとても合っていました。ぜひ食べてみてくださいね。
きっかけは、料理コンテストで最優秀賞
キャベコロの誕生は、田原市内で開催された地元農産物を活用した加工品・料理コンテスト料理の部(2011年度)で最優秀賞を受賞したのがきっかけです。田原・神戸地区の女性グループが考案しました。受賞を知った田原飲食業組合が、その味と名前に商品価値を見い出し、キャベツの消費拡大を目的に「せっかくだから商品化しよう」と動き出しました。
とは言っても、簡単ではありませんでした。豊橋市の食品製造業サンショクと試作、試食を重ね、1年ほどかけて商品化にこぎつけました。冷凍のキャベコロの誕生です。
サンショクは、地元の食材を使った商品開発も手掛けています。
サンショク http://www.sansyoku.com/
当初は、カレー風味の業務用だけでしたが、一般消費者から買いたいとの声が上がるなど、好評だったため、家庭用として5個入りの商品を作り、プレーン味もできました。道の駅田原めっくんはうすの女性スタッフは「お土産として買っていただく人たちも多く、売れ行きはいいですよ」と喜んでいます。
まちおこしに、地元の人たちが協力
女性グループからコンテストの相談を受け、キャベコロのレシピ考案に一役買ったのが地元の仲谷政弘さん。「キャベコロ」の名付け親でもあります。仕事でカナダへ行くことがあり、家庭料理にジャガイモを使わないコロッケのような揚げものがあったことを紹介、女性たちはこれを参考に考えました。
仲谷さんは、当時を「まちおこしになればとの思いで、面白かったですよ」と振り返ります。レシピが全国に広がったことに「このようになるなんて思いもしませんでした。末永く愛されれば」と見守っています。
キャベコロは、2016(平成28)年度の「優良ふるさと食品中央コンクール」で最高位の農林水産大臣賞を受賞。コンクールは、食品や関連の企業、団体を会員にする食品産業センターが実施し、優良な食品と生産者をたたえています。
同年、田原市から「渥美半島たはらブランド」に認定され、市はふるさと納税の返礼品にもしています。
田原、豊橋は全国屈指のキャベツ産地
愛知県によると、2018年の県内のキャベツ生産量は24万5600㌧で全国2位。作付面積は5340㌶で全国1位です。県内の主な産地が田原市、豊橋市の渥美半島です。秋から冬、春にかけて、両市の郊外はキャベツ畑が広がっています。
商品化に携わった田原飲食業組合の伊藤明弘さんは「栽培が盛んなキャベツをたくさん使ってもらうことと、農家の人たちの支援につながればというのが、商品化の始まり。多くの人にキャベツがいろいろな食材に使えることを知ってもらえたら」と期待を込めて話していました。