伊良湖が生んだ歌詠み糟谷磯丸の「まじない歌」を解説した冊子を顕彰会がまとめました
江戸時代後期、伊良湖(田原市)で漁師の長男として生まれ、後に歌人として知られるようになった糟谷磯丸(1764ー1848年)の「まじない歌」一首一首に解説などを添えた冊子「磯丸様のまじない歌」を、田原市の糟谷磯丸顕彰会(岡田善広会長)がまとめました。
無筆の歌詠み磯丸
漁師だった磯丸は、文字を書いたり読んだりすることができませんでしたが、歌を作り始めると少しずつ読み書きができるようになり、85歳で天寿を全うするまで生涯に数万首の歌を詠んだとされます。中でも「まじない歌」は、民衆の祈りや願い、困り事などがかなえられるよう頼まれるまま歌にしており、人々の心のよりどころでした。
家内安全から、ねずみ除け、安産、病気が治る歌などが残り、当時の人々のありのままの日常を感じることができます。
今回、まじない歌がどのような歌なのか読み方や意味を知りたいという地元の人らの要望に応えるため、歌に現代語訳、解説をつけた冊子を作りました。168首が収録され、2010年に「伊良湖の歌ひじり 糟谷磯丸」を出版している中部日本歌人会顧問の安江茂さん(愛知県犬山市)が、それぞれの歌を現代語に訳し、解説をつけました。
「ねかはくはそらふきたまへ風の神 人にさはりて何のゑきれひ」と疫癘除(えきれいよけ)の歌もあります。疫癘は流行病のことで、2020年から広がった新型コロナウイルスにあたると言え、現代に通じるものがあります。
顕彰会の岡田会長は「当時、医者もいない、薬もない村の人たちにとって、磯丸さんに詠んでもらった歌は薬以上の効能があったのでしょう」と話していました。
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冊子はB5判、58㌻で、各地に残る歌碑リストも含まれています。神野教育財団(豊橋市、神野吾郎理事長)から2022年度教育・文化活動助成を受けて編集、制作されました。販売価格は1100円(税込み)。地元の書店(精文館書店、豊川堂)、アマゾンなどで扱っています。
神野教育財団は23年度の助成も6月15日まで、申請を受け付けています。
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教育・文化活動助成
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