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農業と食

物価の優等生・卵の安さではなく付加価値で消費拡大、渥美半島のイラコファーム

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 「物価の優等生」と言われている卵の価格ではなく付加価値に注目してもらおうと、愛知県豊橋市杉山町の鶏卵業者「イラコファーム」は、黄身の色が濃い「#華音(かのん)」を販売している。#華音を1個乗せるだけでよりおいしそうな料理に早変わりする「SNS映え」を意識したブランド卵が目指すのは、卵の消費拡大だ。

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温暖な渥美半島で育つ卵

 農場たまご「めぐみ」を販売するイラコファームがニワトリを育てるのは、愛知県東部・渥美半島の先端近く。提携農場と合わせて50万羽のニワトリが1日約35万個の卵を産む。うち2万が#華音用で、今後、順次増やしていく予定だ。

ポイント①食欲をそそる赤みの強い黄身

 黄身の色は卵を産むニワトリが食べるエサが関係している。#華音はエサにパプリカを混ぜることで、赤みの強い色になっている。黄身の色を測るカラーチャートでは2番目に赤い17で、食欲をそそる色にこだわった。

ポイント②いつでも同じ価格で手に入る

 #華音の特徴は色だけではない。価格を6個250円前後で販売することで、消費者はいつでも同じ商品を同じ価格で購入できる安心感が得られる。さらに、市場の価格変動に左右されることがないので、会社的にも経営の安定化が図れるのだ。

高騰する飼育コストが価格に転嫁できない鶏卵業界

 商品開発の背景にあるのは、食卓に欠かせないからこそ「安さ」を求められてきた鶏卵業界の苦悩がある。この30年間で価格が月平均で1㌔200円台を超えることがなく、食卓の味方であり続けてきた。ただ、イラコファーム社長の髙井正和さん(48)は、「通常の卵を作っても値段は安いまま。今、エサ代は高騰しているが、その分を価格に転嫁できないでいる。鳥インフルエンザが起きるなど、供給が減ったときだけ卵が高くなる」と話す。

 

 2022年10月以降に発生した鳥インフルエンザにより、品薄となったことなどで価格が高騰し、2023年の年間平均が初めて300円台を突破した。今年に入り平年並みの価格に落ち着いたが、この夏の猛暑の影響で卵の生産量が減った上、外食産業の需要拡大で上昇傾向に転じている。

需要を増やして鶏卵の単価をあげる

  

 髙井さんはその現状を打破するために#華音の販売を決めた。卵焼きやゆで卵など、普段の卵メニューに加えて、料理の見た目を美しくする、おいしそうに見せるためのツールとして、食生活にプラスしてもらいたいと考える。「需要が増えれば単価も上がる。まずは食べてもらうことが大事」と語る。

 付加価値を消費者に伝えるツールもやはりSNS。名前に#をつけたことも戦略の一つだ。さらに、地元豊橋市の飲食店や、テレビ番組に出演する話題の飲食店に使ってもらうことで、一般消費者への認知拡大を狙う。

「美味しそう」を食育に

 「皆さんそれぞれの『映え飯』を#華音を添えて、SNSへ投稿してもらえたらうれしい。若いお母さんが自分の作ったご飯をSNSにあげて、みんなから『おいしそうだね』と思ってもらえるのが一番。子どもがそのご飯を食べて、『卵は#華音だよね』と家族内で流れができることで、最終的にはどこのスーパーへ行っても、イラコファームの卵があるというのを目指したい」と目標を語る。

 11月30日まで豊橋市白河町のサーラプラザ豊橋1階にある「GREEN CAFÉ」で#華音を使用した照り焼きソースのロコモコ(スープ付1350円、 ドリンク付+130円~)が提供されている。そのほか、#華音は愛知県豊川市の「MEGAドン・キホーテUNY 国府店」に置かれている。問い合わせはイラコファーム(電話0532・23・0037)へ.

 

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