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老舗問屋街の美容院pokkeciseが融合する懐かしいものが纏う空気感と新しさ、豊橋・水上ビル

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客と感性を共有する
美容院ポッケチセ

 


豊橋市・水上ビル

 時間の刻み方が違う、豊橋駅南側に連なるビル群・通称水上ビルで過ごす1日はそう感じる。目の前で再開発ビル建設の槌(つち)音が響く美容院「pokkecise(ポッケチセ)」も、カラカラと鳴る引き戸を開け、一歩中に入れば、しっとりと心地よい時間が流れています。

 訪ねたのは11月中旬。日が落ちた晩秋の夜、営業を終えた店内からは木漏れ日のような暖かな光がもれています。店内に浮かび上がる木製の花器の美しいシルエット。12月あたままで開催されていた「夜光展」は、浜松市在住の木工作家柏原崇之さんの作品35点が並んでいました。木の特徴を生かしたガラスドームや一輪挿し、ライト、そのどれもが優美なシルエットから色気をにじませています。

 週末には、関連イベントとして木製楽器「ダクソフォン」のライブを実施。瞬く間に満席となる盛況ぶりで、日本では数少ないダクソフォン奏者・筒井響子さんが奏でる不思議な音色が、店内を包みました。この日の様子は、映像作家で水上ビルの住人でもある山田晋平さんが協力し、映像作品としても配信されています。

店名はアイヌ語で「あたたかい家」の意味

 アイヌ語で「あたたかい家」を意味する店名らしく、自然体で気取らない雰囲気を醸し出すのはオーナーで美容師の橋口陽子さん。

 これまでも、雑貨のポップアップショップや革製品のワークショップ、さまざまなアーティストによる音楽イベントなどを店内で開催。美容院という枠を超え、感性の共有の場として、多様な催しを企画しています。「生活に密着している髪の毛以外の、余白的なところでもお客さんとつながることをやりたかった」と話します。

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小料理屋をリノベーション

 橋口さんが空き家だったこの店を買い、リノベーションして開店したのは2017(平成29)年6月。古く個性的な物件を探していた橋口さんにとって、世にも珍しい用水路上に建つビル群・水上ビルはうってつけの場所でした。中でも、戦後の青空市場から身を興した大豊商店街は、今では知る人ぞ知るエリア。マイノリティ(少数派)なものに惹かれる橋口さんがこの商店街に居を構えたのも必然な気がします。

 もともとは小料理屋だった名残を感じる入り口は、まるで水路の上に立つ水上ビルを象徴するような波打つ建具が残っています。壁の白いタイルもそのまま。あえて古い躯体を残すのは、この場所が紡いできた歴史への敬意とこれまで関わってきた人々への心遣い。

 完全予約制のプライベートサロンとしても人気。自然由来のヘアケア剤と髪に優しい薬剤を中心に取り揃えています。「誠実にちゃんと丁寧に。その人の背景にも寄り添いながら、自分もお客さんもリラックスした状態で仕事をしたい」と語ってくれました。

店名:pokkecise(ポッケチセ)
インスタグラムはpokkeciseから
住所:豊橋市駅前大通り2-71-17
メール:pokkecise@gmail.com
電話番号:0532-75-8179
不定休、完全予約制

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