技科大生発案の組立式屋台を路上販売向けに無料貸し出し、全国の商店街が対象
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける商店街に向けて特注家具や建具を製造する老津木工(愛知県豊橋市、松井誠代表取締役) は、地元の大学生と開発した簡単に組み立てられる木製屋台「Patto (パッと)」の無料貸出を始めた。初回の貸出に手を挙げたのは、豊橋駅南側の通称水上ビルで開催する朝市で、3台の屋台が道ゆく人々をもてなした。
屋台が貸し出されたのは、3月7日の朝から始まった「水上ビルの朝市」。無垢の木目が美しいシンプルな屋台で売られていたのは、体のことを思って丁寧に作られた焼き菓子やこだわりのスパイスカレー、個性的なリメイクウエアなど。屋台3台が横に並ぶことで、空間に統一感が生まれていた。
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組立式屋台 「Patto 」は、奥三河の間伐材を使用したその名の通りパッと組み立てられる屋台。コロナの影響を受ける人に向け、屋外販売支援のため、2020年6月から豊橋技術科学大学の建築設計サークル「TYACC」と老津木工が設計会議をスタートし、試作を繰り返し21年5月から販売を開始した。5分程度で、工具を使うことなく簡単に組み立てることができ、持ち運びやすさと組み立てやすさを考え、蝶番を用いてパタパタと折りたためる構造になっている。
「TYACC」のメンバーで、Patto のデザイン設計を担当した豊橋技術科学大学大学院建築・都市システム学専攻1年の田中甫さん(23)は「なかなか屋外販売に踏み出せない人に導入してもらい、少しでも助けになれたらいいなと思います」と話している。
Pattoが商店街の活性化にできることについて「TYACC」アドバイザーで前橋工科大学建築学科の辛島一樹准教授は、「簡単に組み立てられるPattoは、コロナ禍において増加した広場や空き地などを活用したマルシェなどでの活用にぴったりです。商店街に沿った道路や歩道空間、アーケードの架かった歩行者専用空間などの公共空 間に屋台を活用することで、建物内だけでの人の活動を外部につくり出すことができます。まちや通りに人がいる風景を生み出す、人々の交流を促す可能性があり、ひいてはにぎわいにつながる期待があります」と説明する。
Patto無料貸出は、全国の商店街、もしくは商店街でイベントをする主催者を対象に5月31日 まで着順で貸し出す。一つの商店街につき、3台までを最大2週間(配送期間は除く)で貸す。
予約、問い合わせは老津木工(電話0532・23・2528 )へ。