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旅としなもの
糟谷磯丸

恋愛成就、疫病除けの願いを歌った渥美半島の偉人・糟谷磯丸をご存知ですか?

旅としなもの

 江戸時代後期に「無筆の歌詠」として知られていた伊良湖出身の糟谷磯丸。一生のうちで詠んだ数万首の和歌の中でも、特質をなすのは当時の人々の願いや困りごとを誠心誠意、心を込めて詠んだ「まじない歌」です。石碑にしたり、掛け軸にして床の間に掛けたりすると、不思議とその願いが叶ったと伝えられています。愛知県田原市の伊良湖岬灯台に続く遊歩道「いのりの磯道」には歌碑が並び、中には、恋人の聖地らしく、思い人と添い遂げられるようにと願いが込められたまじない歌も。ここでは、渥美半島の偉人・糟谷磯丸について解説します。

 

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糟谷磯丸

 

【恋愛のまじない歌】

 ねがわくば なお末かけて ひたち帯 むすぶの神の 恵みまたなん

 意味:私の願いは恋しいあの人と結ばれることです。常陸の鹿島神社の帯占いに結ばれた男女のように、結びの神様のお恵によって、どうぞ、末長く添い遂げさせてくださいますよう、ひたすらお願い申し上げます。

 

疫病除けのまじない歌で新型コロナウイルス感染症の終息を願う

 

 磯丸は疫病除けのまじない歌も残しています。2020年7月には、伊良湖地区の宿泊施設や飲食店などでつくる伊良湖岬観光協議会が、四つ葉のクローバー付きの疫病除けのまじない歌を載せた「まじない歌カード」を新型コロナウイルス感染症の終息を願って配布する取り組みを行いました。郷土の偉人は今も、伊良湖の人たちに親しまれています。

【疫病除けのまじない歌】

 ねかはくは そらふきたまへ 風の神 人にさはりて 何のえきれひ

 意味:風の神様よ、どうぞ大空に吹き渡って疫病を追い払って下さい。人を伝染病にさせて何の益がありましょうか。

 

磯丸の生涯とは?

 伊良湖村(現在の伊良湖町)に漁師の家の長男として生まれ、もともと漁師だった磯丸は文字を書くことができませんでした。31歳で父を亡くした磯丸は、長い間病気だった母親の快復を願い、3年間、近くの伊良湖神社に毎日参拝しました。その際、神社を参拝する旅人が口ずさむ歌に不思議な魅力を感じ、努力して歌を作るようになったと言われています。35歳のころです。

 旅が好きで、三河各地をはじめ、南信州、静岡、京都、伊勢、江戸などへ足を延ばしていました。行く先々で歌を詠んでほしいと頼まれ、それを断ることなく、それぞれの願いを歌にしていきました。

 生涯を歌に生き、旅して過ごした磯丸は、老若男女、身分を越えて多くの人に愛され、1848(嘉永元)年、生まれた日と同じ5月3日に伊良湖の地で85歳の生涯を終えました。

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伊良湖クリスタルポルト近くには歌碑が並ぶ遊歩道

糟谷磯丸

 愛知県・伊良湖岬の先端にある道の駅伊良湖クリスタルポルトから伊良湖岬灯台に続く遊歩道「いのりの磯道」には70の歌碑が並んでいます。まじない歌の目印は短冊形の歌碑です。遠くに三重県鳥羽市を望みながら、磯丸が歌に込めた願いに思いを馳せてみてください。

 


いのりの磯道
住所:愛知県田原市伊良湖町古山
アクセス:東名豊川ICより約90分
駐車場:あり(恋路ヶ浜駐車場より徒歩10分)
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