柔らかい柿はパイ生地で包んで焼く! 100年以上続く次郎柿農家が教えるスイーツレシピ
ぐじゅぐじゅに柔らかくなった柿がダイニングテーブルの上に現れる季節―。フレッシュな柿とは違った楽しみ方として、次郎柿の日本一の産地である愛知県豊橋市で100年以上続く柿農家おすすめの「柿のホットパイ」レシピをご紹介します。とろっと甘い柿が好みの人もそうでない人も、ぜひ一度、試してみてください。
レシピは、2022年11月26日(土)に愛知県の豊橋駅前にある複合施設「emCAMPUS(エムキャンパス) イースト」1階レストランで行われたイベント「Farmers Collection@emCAMPUS FOOD 生産者の作る特別な料理~生産者ご飯~」で、柿農家の鈴木義弘さん、美有紀さん夫妻が紹介しました。このイベントは、生産者ならではの食べ方を消費者へ披露する場で、毎回キッチンに立つのは、農民藝術創造倶楽部のメンバーとしてエムキャンパスの屋上にある農園に参画している方々。3回目のこの日は、鈴木さんのほか、サツマイモ農家とキクラゲの生産者が腕をふるいました。
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愛知県豊橋市は次郎柿の生産額日本一
豊橋市は日本一の次郎柿産地ということをご存知でしょうか? 豊橋に次郎柿がもたらされたのは大正元年、市北東部の石巻地区の農家が苗木を植えたことから始まりました。戦時中は国策により柿畑が芋畑へと転換を余儀なくされましたが、戦後は新植が進み、一大産地にまで発展。今では、海外輸出されたり、首都圏のデパートに並んだりする、豊橋が誇る特産品の一つです。
次郎柿は四角い形にタネがほとんどないのが特徴。また、すっきりとした甘さのある果肉は、シャキシャキとした小気味いい歯応えで、柔らかい柿が苦手、という人にも食べやすい柿です。今年、豊橋市は台風の被害もなく、豊作の柿フィーバーに沸いています。
例年になく多くの柿が手に入った人、生で食べる以外でも楽しみたい人のため、こっくりとした舌触りと甘さが美味しいホットパイのレシピを紹介。こちらは美有紀さんオリジナルで、次郎柿90周年記念事業として募集があった次郎柿アイディアレシピの受賞作でもあります。
▼次郎柿のホットパイのレシピ
材料(4人分)
●次郎柿・・・・・・・1個(皮をむいた状態で200gほど、次郎柿以外の柿でも可)
●レモン汁・・・・・・大さじ1弱
●砂糖・・・・・・・・20~30g
●冷凍パイシート・・・2枚
●カスタードクリーム・適量
●溶き卵・・・・・・・適量
作り方
1.皮をむいた柿を1cm角に切る。砂糖とレモン汁を加えて中火で10~15分ほど煮て、完全に冷ます。
2.パイシートの中央にカスタードクリームを絞り、1の柿をのせる。
a)カットしたパイシートの左半分に端を1cmくらい残して数本切り込みを入れ、右側に1の柿を置く。 シートの周囲に卵を塗り、左側を折ってかぶせ合わせ、とじ目をフォークで押さえる。
b)カットしたパイシートに始めと終わりを2㎝くらいあけて包丁でL字の切込みを入れる。対角の角にも同様の切込みを入れる。切込みをいれた外側に卵を塗り、L字の角を対角の内側の角に合わせるようにたたみ、反対側も同様にたたむ。中央にカスタードクリームを入れ、その上に1の柿をのせる。
3.オーブン用シートを敷いた天板の上に並べ、生地の表面に卵を塗る。
4.200~220℃のオーブンで、焼き色がつくまで15~20分ほど焼けば完成。
ポイント
・レモン汁は少なめの方が柿の風味が引き立ちます。
・シナモンを入れるとアップルパイらしさがアップ。
・変わりだねとして、チーズとブラックペッパーを入れるのもおすすめ。
美有紀さん自らレストランのキッチンに立ち、調理工程を説明しつつ、「柿は葉を下に置く方が持ちがいい」「柿に薄ら入っている線に沿って切ると、タネに当たらず切れる」など、柿のまめ知識を織り交ぜながら調理していきます。参加者は目の前に並んだホットパイに舌鼓を打ちながら、鈴木義弘さんの話す、地域活性化に対する思いに耳を傾けます。
熟しすぎた柿のレシピもご紹介
ビタミンC、β–カロテン、カリウムなど、「柿が赤くなれば、医者が青くなる」と言われるほど栄養価の高い柿。他にもトロトロの柿を使ったスイーツとして、柿プリンも紹介しました。柿は食物繊維の一種で、天然のゲル化剤である「ペクチン」が豊富なため、牛乳と合わせてミキサーで混ぜて冷やすとプリンのように固まるそうです。割合は柿2に対して牛乳1。また、牛乳を多めにすると、とろっとしたスムージーとしても楽しめると美有紀さんは言います。
農民藝術創造倶楽部のメンバーで「ホテルアークリッシュ豊橋」の今里武総料理長は、「次郎柿はピクルスにすると、甘みと酸味がマリアージュしてすごく美味しい。硬さが特徴で、普通の柿だと、どろっとなるが、次郎柿はいい感じに食感が残る。味に癖がないので、いろいろなスパイスとも合う。ローズマリーや生姜、タイムなど、いろいろカスタマイズできる万能な果物」と話します。
次郎柿を地元の人が愛する秋の味覚に
最後に、100年以上続く柿農家の4代目である鈴木義弘さんは「柿をただ食べてもらうだけでなく、柿の価値を高めることが大事だと思っています」と話し、産地だからこそ正しい価値を伝えることの必要性を語りました。
「Farmers Collection@emCAMPUS FOOD 生産者の作る特別な料理~生産者ご飯~」の次回開催は2023年1月28日(土)午前11時30分から、愛知県豊橋市駅前大通2の複合施設「emCAMPUS イースト」で開催します。