カラフルに輪菊を染めてオンリーワン商品に、田原市の花農家がカラーリングマムの商品化を目指す
お葬式で使われるイメージの強い菊をハッピーでカラフルな色に染める「カラーリングマム」、その商品化を愛知県田原市のJA愛知みなみ輪菊部会が目指しています。中心になって取り組んできたのが越戸町の輪菊農家で同部会の林正彦さん、さとみさん夫妻ら。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて需要が低迷していた輪菊の魅力創出の期待が高まっています。
地元の小学生がカラーリングマムを体験
田原市立若戸小学校の6年生9人が、地域の特産品、輪菊の花びらをカラフルに染める「カラーリングマム」に挑戦しました。
雄大な太平洋が望める校舎2階の一室。梅雨の晴れ間となった6月下旬、漁船のエンジン音が聞こえてくる教室では、2色染めに挑む児童たちのにぎやかな声が響ていました。
輪菊は白色で、1人1本を使いました。カッターで二つに割いた茎を、自分で選んだ好みの染色液が入った二つの容器に挿し、色が変わるのを待ちました。
林夫妻が使っている染色液は22色ありますが、レッドやイエロー、ブルー、ラベンダーなど8色を持参。児童たちは、好みの色を選びました。
次第に白色の花が、パステル調のカラフルな色に変わっていきました。授業の終わりに児童たちは「花に色がついて面白かった」「どうやって染めるのかが分かった」「他の花でも染めてみたい」と感想を言い合いました。
オンリーワンの商品に
輪菊、中でも白色の菊はお葬式で使われるイメージが強い花です。そこに昨年、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて需要が低迷、菊が余ってきました。
そこで考えたのが、花を満開にさせて、さまざまな色に染め、商品にしよというものでした。これまで、趣味でやっている人はいたそうですが、林さんらは本格的にカラーリングマムの商品化に乗り出しました。
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田原市内の道の駅「あかばねロコステーション」が、試験的にカラーリングマムを行い、販売したところ、観光客らが購入。リピーターもいて、評判もいいということでした。林さんらも手ごたえを感じました。
カラーリングマムは、染める時間や温度、湿度などによって、一つ一つの仕上がりが異なり、「オンリーワン」の商品になるそうです。輪菊の新たな魅力です。
菊だけでなく、アジサイやガーベラなど他の花も、染めることができます。
「花を身近に」生産者の思い
カラーリングマムに挑戦した児童たちは、夢中なって、楽しそうに取り組んでいました、そんな姿に、林夫妻らは花育としてのカラーリングマムにも自信を持った様子でした。
林さんは「子どものうちから花に親しみ、花のある生活が当たり前になればと思う。花を使ってもらえるのが一番」と期待を込めて話していました。
五輪アスリートの応援にもカラーリングマム
東京五輪男子マラソンに出場した田原市を練習拠点にする服部勇馬選手(トヨタ自動車陸上長距離部)の応援展示(市主催)でも、輪菊部会が提供したカラーリングマムが使われました。会場の同市中央図書館に飾られました。