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無限ホープが手話歌ライブ

手話ボーカルが音楽を観せる、5人組バンド「無限ホープ」が手話歌ライブを田原市で初開催

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 みさが弾くピアノに合わせ、手話ボーカルのあきがダンスをするかのように手と全身をしなやかに動かす。拓真のギターの音色が響きわたり、みさの歌声が会場を包み込むー。リズミカルな演奏に手話と歌。手話歌ライブが愛知県田原市で行われました。メンバーそれぞれの持ち味を生かしたライブに、観客が魅了されました。

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バンドが目指すのは「観(み)える音楽」

演奏に5人それぞれの個性がにじむ無限ホープ=田原文化会館で

 3月19日、ステージに立ったのは5人組バンド「無限ホープ」。
 「つっこみ担当」手話ボーカルあき(髙橋明希さん)、「食べるの大好き」ボーカルみさ(今井美早紀さん)、「ホスト系」ギターリスト拓真(桑田拓真さん)、「アイドル大好きオタク系」ベーシストのナリタツ(成廣樹さん)、「農業系」ドラマータクマ(西垣太矩真さん)の個性豊かな5人です。みさを除き、4人は愛知県在住で、2019年12月から活動しています。
 この日は、地元のサークル「でんでん虫」による手話通訳付き絵本「えんとつ町のプぺル」スライドショーと合わせ、ライブが田原市中央図書館開館20周年プレ企画として図書館主催で開催されました。

 ライブは「えんとつ町のプぺル」で始まりました。あき作詞のオリジナルソングやJ-POPのヒット曲など、アンコールを含め6曲が披露されました。

手話で歌詞を表現するあき(右から2人目)=同

 生まれつき耳が不自由なあきは、手話を少しアレンジして歌詞を表現します。事前に、歌うみさの口元がよく分かる動画を繰り返し見て、リズムを覚えるそうです。演奏中は、メンバーの動きなどでリズムをつかみます。
 ステージで楽しそうに躍動する5人。それに呼応し、会場の観客が手話で返し、一体感がありました。
 「頑張って手話をやるのもいいけど、手話ができなくても楽しい、自然体でいいというメッセージが伝われば」と、みさが話すように観客は演奏に乗り、自然と手を動かしていました。
 バンドが目指す「観(み)える音楽」、見て楽しめるライブになっていました。
 ライブ後、観客からは「よかったよ。涙が止まらなくて」という声が多くありました。筆者も、ステージに向けたレンズ越しに涙がこぼれそうでした。全身を使った美しい手話とやさしい音、楽しそうな表情の5人の姿が心に響いたのかもしれません。

言語として認められている手話を知ってもらうきっかけに

 あきは田原市に住んでいます。平日は公務員として働き、プライベートではバンドのほか、手話の講師を務めたり、旅行に出かけたりと活発に行動しています。
 田原市では初となったライブを終え、「不安もありましたが、やってよかったです。気持ちが伝わったかな」。観客の表情を見て、そう思ったそうです。
 「言語として認められている手話を知ってもらうきっかけになるといいです。聞こえなくても、できるんだということも知ってもらえたら」と、筆者に語りました。

「マジで」「ヤバイ」の手話を紹介

ライトホープのみさ㊧とあき=同

 ライブの前には、あきとみさの2人が「ライトホープ」の名前でステージに登場しました。息の合った掛け合いで会場の人たちを笑わせながら、手話を紹介しました。「ありがとう」や、日常会話で使う「マジで」「ヤバい」もありました。「プペル」に出てくる「星」「友達」「希望」なども伝えました。
 「ライトホープ」の名前の由来は「明希」に由来しています。「明るい希望」を英語にしたそうです。
 「ありがとう」「友達」「希望」など、この日紹介した手話は、2人の観客へのメッセージのようにも感じました。

 

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