蔵王山の風車が今秋解体へ、展望台が思い出の写真を募集
田原市内に来ると、目に入るのが蔵王山(標高250㍍)。その山頂には、展望台と並んで風力発電用の風車があります。今や田原のシンボルにもなった風車ですが、耐用年数を超え、解体されることになりました。展望台では、風車の写真を募り、寄せられた写真から順次展示しています。
風車は、渥美半島特有の強風を生かし、地球環境を考える象徴にしようと市が建設。高さ約30㍍の支柱に羽根が3枚付き、2002年3月に稼働しました。
発電した電力の一部は展望台に供給したほか、環境教育に活用され、エコエネルギーの啓発、普及の役割も果たしました。
10月13日から解体工事 展望台は休館
解体工事のため、10月13日から山頂付近の道路が通行止め、蔵王山展望台は休館になります。
工事は、大型クレーンを使います。12月13日までの工事期間を設けていますが、工事の進ちょく状況によっては変更する場合もあります。
終了後、跡地の舗装工事などが進められます。このため、山頂の駐車場は一部規制されますが、展望台は再開します。市によると、山頂への新たな風車の建設計画はないそうです。
風車の写真を募集中
20年近く稼働した蔵王山の風車。その思い出を多くの人に心に焼き付けてもらおうと、展望台が風車の写真を募集しています。
データ(2メガ以上)で提出し、展望台で受け付けています。写真は10月10日まで、4階展望室に展示されます。
企画した展望台の店舗「蔵王パノラマカフェ」の近藤淳彦店長は「風車のある素晴らしい風景を実物と写真で見てもらえれば」と話しています。
主な展示写真は展望台ホームページ、YouTubeで公開中です。
ひと言
蔵王山の風車が姿を消すということを知り、建設時を知る筆者にとっては「残念」の一言に尽きます。
当時、強風で知られる渥美半島特有の風を活用し、発電するというアイデアと、蔵王山の頂上に建設する発想は斬新で、画期的でした。東三河地域の発電用風車建設の先がけにもなりました。
稼働後は、蔵王山に展望台と風車が並んでいる姿が日常になり、ふもとからは風車が回る姿が見られ、渥美半島の風を目で感じられました。田原の新たな名物にもなったと思います。
昨年から故障が相次ぎ、昨夏に稼働を停止、今は動いていませんが、その存在があるだけでも「風のまち渥美半島」のアピールになりました。
「自分が退職するまで動いていてくれたら」。建設計画に関わった市職員が、当時の思いを述懐していました。来春、退職を迎えます。
間もなく見られなくなると思うと寂しいですが、役目を十分に果たしました。風車のある蔵王山を、いつまでも記憶にとどめたいと思います。